TOEICリスニングでイギリス英語対策はどうすれば良いか?

TOEICリスニングでイギリス英語対策はどうすれば良いか? イギリス英語発声特性を踏まえた英文音読トレーニングで上達が図れます。

TOEICリスニングでイギリス英語対策はどうすれば良いか? 

TOEICリスニングではアメリカ英語以外に、イギリス英語、カナダ英語、オーストラリア英語 、ニュージーランド英語が使用されています。

これらのお国なまりの英語のリスニング試験対策を、イギリス英語を例にとって解説したいと思います。

 

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TOEICリスニングテスト5か国英語

日本の中学・高校での学校英語教育はアメリカ英語を基本としています。

第2次世界大戦後、日本における米国の政治的・経済的な影響の大きさを考えると自然な選択と言えます。

他方、TOEICは、世界に様々なお国なまりの英語が存在していることを考慮して、英語リスニング力の評価として、アメリカ英語以外の4か国の英語を試験に出しているものと想定されます。

アメリカ英語のリスニングだけでも苦戦している人は多いと思いますが、いくつかの国のお国なまり英語も試験に出る以上、何らか対策を打ちたいところです。

オーストラリアとニュージーランドは英連邦所属国でもあり、イギリス英語に近いものがあり、カナダは英連邦所属国ですが、地理的に米国と近いので発音はアメリカ英語に近いと言われています。

筆者はイギリスに2年滞在していたこともあり、イギリス英語を例示として英語リスニング対策を解説したいと思います。

イギリス英語リスニング
イギリス英語リスニング

イギリス英語の実体験エピソード

日本でも日本語の方言が多種多様に存在しています。

遠く離れた鹿児島県と青森県で大きく話し言葉は違いますし、京都市大阪市のように距離的に近くても、結構、話し言葉は異なっています。

イギリスでも同様です。

イギリス英語と言っても、イングランドスコットランドウエールズ北アイルランドでかなり違いますし、同じイングランドの中でもロンドン、リバプールなど都市によってもかなり違いがあります。

さらに、階級社会であるイギリス独特の上流(王室、貴族など)、中流、労働者階級でも話し言葉がかなり違っています。

ちなみに、マイ・フェア・レディ (My Fair Lady) というオードリー・ヘプバーン主演の映画があります。

その映画では、言語学が専門の大学教授が、下町生まれの粗野で下品な言葉遣い(コックニー英語)の花売り娘(オードリー・ヘプバーン)の言葉遣いを上流階級の発声に矯正しようとしましたが、なかなかうまくいかないシーンがありました。言葉遣いというものは生まれ育ったものでもあり、その矯正はなかなか難しいものがあります。

このような状況を踏まえ、イギリスでは、イングランド南部の教養のある階層の発音、公共放送・BBCのアナウンサーの発音、王族の発音を容認発音(Received Pronunciation)として事実上標準発音としています。

TOEICリスニング試験におけるイギリス英語はこの容認発音が基本的には使われています。

 

【エピソード1】

ケンブリッジの語学学校に通っていたとき、ホームステイ先で、そこの家族とテレビニュース番組を見ていた時、イギリス人の奥さんが「あの記者は、グラスゴーの労働者階級の出身だわ」と発言したのを聞いてびっくりしたことがありました。発音の仕方や表現の仕方などで識別できるそうです。

 

【エピソード2】

イングランド中部の都市に滞在していたころ、近所の八百屋に野菜や果物を買い出しに行った際の話です。

自分の食事のサラダ用にトマトを買いたかったのですが、見当たらなかったので、女性店員に尋ねました。

トマトは「トメイトウ」と発音するのだったよなと思いつつ、「“トメイトウ”を買いたいのですが」と質問したら、そのイギリス人の店員さんはきょとんとした顔したあと、「オ~、トマ~ト」と言ってトマトが置いてある場所に連れて行ってくれました。

そこではトマトは「トマ~ト」と発音し、ローマ字読みのままでよく、トマトはイギリス英語だったのだと非常に驚きました。

 

【エピソード3】

リバプール出身のイギリス人と話をしていたとき、「ブス」という単語が出てきて、「ブス」という単語は聞いたことがないと思いました。

しかし、話の流れから乗り合いバスの“bus”のこと何と「ブス」と発音していました。これもローマ字読みとなっていました。

 

【エピソード4】

日本では、予定を意味する“schedule”を「スケジュール」と発音し、そのままカタカナで日本語としても通用しています。

ロンドン出身の同級生のイギリス人に英語で「今後のスケジュールは」と話しかけたところ、「スケジュールではなく、シェジュールと発音するのが適切だ」と言われたことがありました。

イギリス英語では「スケジュール」のことを「シェジュール」と発音することを知らなかったので驚くとともに、仮にそうだとしても、日本人に向かって「今後のシェジュールは」と言ったら通じないだろうなとも思いました。

 

【エピソード5】

北アイルランド出身の講師の先生の授業を受講した際、何と全く何も理解できなかったのです。

英語と思えない全く知らない外国語のような感じでした。

隣にいたロンドン出身のイギリス人にそのことを話したら、その人は「確かにものすごくなまりはきつく、聞き取りづらかったけれど、自分は彼が何を話していたのかは理解できた」とコメントしていました。

このような感じで、イギリス英語特有のお国なまりもあるし、イギリス国内の方言も、日本と同様に多様なものがあり、日本人には対応が容易ではないと言ったところでした。

 

イギリス英語リスニング
イギリス英語リスニング

一般的なイギリス英語学習方法

一般的なイギリス英語学習方法として以下のようなものが勧められています。

アメリカ英語とイギリス英語とで、同じ単語だが発音が異なる英単語や、同じ意味なのに違う単語を使うケースを学習する。
アメリカ英語ではあまり使わないが、イギリス英語でよく使う表現を勉強する。
BBCニュースなどを見てイギリス英語の発音に慣れること
TOEICリスニング問題集をたくさんやって、お国なまり英語に慣れる。

このような感じですが、1つ1つコメントしていきたいと思います。

 

アメリカ英語とイギリス英語とで、同じ単語だが発音が異なる英単語や同じ意味なのに違う単語を使うケースを学習する。

これはまったくその通りです。

同じ単語だが発音が異なる英単語ですが、先ほどの事例の“schedule”(米国:スケジュール、英国:シェジュール)以外にも

“data”(米国:ダータ、英国:デイタ)
“vitamin”(米国: ヴァイタミン、英国: ヴィタミン)
“direction”(米国: ディレクション、英国: ダイレクション)

など多数あります。

同じ意味なのに違う単語を使うケースも以下のようなものが多数あります。

長期休暇(米国:vacation、英国:holiday)
ガソリン(米国:gasoline、英国:petrol)
ゴミ(米国:garbage, trash、英国:rubbish)

英国でゴミを意味する“rubbish”は、「くだらない」と意味もあり、「あの授業はくだらない」などイギリス人にものすごくよく使われていて、日本人の私でもすぐ覚えて使えるようになったものです。

これらの現地に住んでいれば、よく聞く単語なので、気張って覚えると言う必要がないのですが、日本に住んでいて、日本で英語リスニング試験対策となると、試験頻出単語に絞って効率よく覚えたいところです。

この種の違いを紹介しているWebサイトや書籍はいろいろあるので、それらを勉強するしかありません。

 

アメリカ英語ではあまり使わないが、イギリス英語でよく使う表現を勉強する。

これもまったくその通りです。

有名な例はイギリス英語では“have got”をよく使うなどがあります。

例えば、「今、何時ですか?」と時間を聞く場合も次のようになります。
米国:Do you have the time?
英国:Have you got the time?

これらに関しても、TOEICなど英語リスニング試験に頻出の表現に絞って効率よく勉強することが必要です。

この種の違いを紹介しているWebサイトや書籍もいろいろあるので、それらを勉強することだと思います。

 

BBCニュースなどを見てイギリス英語の発音に慣れること

日本だと、アメリカ英語の音声には慣れているが、イギリス英語はあまり聞く機会がないので、耳慣らしをすれば、イギリス英語のリスニング力が向上するでしょうという理屈です。

日本ではNHKが毎日BBCニュースを放送していて、2か国語放送なので、英語音声でも簡単に毎日視聴することができます。

しかし、残念ながら、毎日BBCニュースを視聴しても、イギリス英語のリスニング力は顕著に向上しません。

2年間、かなりな時間イギリスの様々なテレビ番組を見ましたが、顕著にリスニング力が向上するということはありませんでした。

昨今、聞き流し英語が英語リスニング力向上にあまり役立たないとする論調が増えてきましたが、効果が出ない理屈はそれと同じことです。

ただ単に英語音声を聞くだけでは、英語聴覚脳を構築することができないのです。

 

TOEICのリスニング問題集をたくさんやって、お国なまり英語に慣れる。

TOEIC受験生の方々はTOEICリスニングテストで得点の向上を狙うため、TOEICリスニングテストの形式やお国なまり英語などに慣れておくことは非常に重要です。

学習開始最初は、英語リスニングテストの形式に慣れていないこともあり点数が低くなりがちですが、問題演習を繰り返すうちに出題形式やお国なまり英語にも慣れて得点も向上してきます。

しかし、ある時点でTOEICリスニングテストの得点は頭打ちとなりがちです。

残念ながら英語リスニングテストを数多くこなすことで英語リスニング力の向上は多くを望めません。

英語を聞き流すだけでは英語リスニング力が向上しないのと同じ理屈です。

このような感じですが、イギリス英語特有の英単語や英文法の勉強やイギリス英語の音声をたくさん聞いたからと言って、イギリス英語のリスニング力は顕著に向上しません。

それは、アメリカ英語の英単語と英文法をみっちり勉強する中学・高校英語をこなしても、アメリカ英語のリスニング力はなかなか向上しないのと同じ理屈です。

イギリス英語リスニング
イギリス英語リスニング

 


イギリス英語リスニング力を向上させる効果的な勉強法

英語音声を英単語単位で1つ1つキャッチする方法

 

【日本語聴覚脳】

日本語を母国語とする日本人は、日ごろ日本語の生活環境にいて、日本語聴覚脳が構築できているので、日本語音声を単語単位で認識し、その意味も日本語ベースで認識することができ、日本語音声をたやすく聞き取ることができます。

日本語の発声特性とイギリス英語の発声特性は構造的に大きく異なるため、日本語聴覚脳で、英語発声音を英単語単位で1つ1つキャッチすることは難しいものとなります。

そのため日本人が英語発声を英単語単位で1つ1つ認識できるようになるには、イギリス英語聴覚脳をトレーニングにより構築する必要があります。

 

【英語聴覚脳を構築するトレーニング方法】

それではどのようなトレーニングを積むとイギリス英語聴覚脳が構築できるのでしょうか?

それは、イギリス英語発声特性を活用した英文音読トレーニングを実施することが効果的です。

文音読ですかあと感じられた方も多いと思います。

文音読が英語力向上に役立つと聞いてトライした方も多いと思います。そしてほとんどの人は英文音読を止めていると思います。

理由は簡単で、文音読は労力と時間が掛かる割に、英語リスニング力を含め英語力が向上したとは感じられないからです。

なぜ英語音読をやっても効果が感じられないのでしょうか?

それは日本語発声特性で英語音読をしてしまうからなのです。日本語発声特性でいくら英文音読をやっても英語聴覚脳の構築はできません。

逆にイギリス英語発声特性を十分に加味して英文音読をすると、イギリス英語聴覚脳が構築でき、驚くほど英語リスニング力が向上して、イギリス英語発声を英単語単位で1つ1つ認識できるようになります。

 

【英語発声特性とは】

それでは英語発声特性とはどのようなものでしょうか?英語発声は、呼気の流し方、音階、舌の使い方、口の開き方など、日本語発声の仕方とかなり異なります。

詳しくは英音研学習サイトで詳しく具体的に図解で解説していますので、ぜひそちらをご覧ください。

英音研学習サイトはアメリカ英語をベースに解説及び音声を装備していますので、アメリカ英語とイギリス英語の発声特性は共通するものも多いですが、イギリス英語独特の発声特性は別途学習してください。

 

【英語聴覚脳の構築方法とは】

上記の英音研学習サイトをみれば、英語発声特性を理解することはそれほど難しくありません。

しかし、理屈を理解しただけでは英語聴覚脳を構築することはできません。

英語聴覚脳を構築するためには英語発声特性を加味した英語音読トレーニングを毎日短時間で良いので継続的に実施することが必須です。

英語発声特性の土台は、呼気の流し方、音階、舌の使い方、口の開き方などが非常に重要です。

これらをきちんと実践しつつ、英文音読をする必要があります。

文音読では英単語のアルファベット1文字1文字をきちんと発声する必要があり、英語フォニックスを毎日1~2分復習することにより脳に刻み込むことが非常に重要です。

そして、1英単語ベースでは音節、アクセント強弱を意識した発声も毎日数分復習することにより脳に刻み込むことも非常に重要です。

1英文での強弱を意識した発声を数分復習することにより脳に刻み込むことも非常に重要です。

そのうえで英音研学習サイトでは、米国人ナレーターによる音声録音により、英語フォニックスなどの基礎的な学習から、英文を低速・中速・高速の3種で読み上げるトレーニングも実施します。

高速音声に関しては、音声装置を使って機械的に2倍速や3倍速などの不自然な音声ではなく、米国人ナレーターによる肉声での高速発声録音になっていて、高速発声になったとき、どのような強弱リズムになるのかなど非常に勉強になりますので、トライしみてください。

そして米国人ナレーターの高速発声に近い音読ができるようになったとき、英語ネイティブスピーカーの発声方法がどれほど日本語発声方法と違うかということが良く理解でき、そして英語聴覚脳が構築でき、自然体で英語リスニング力が向上していることを実感できることでしょう。

このような音読トレーニングを毎日15分間続け、英音発声特性を脳に刻み込むことにより、英音聴覚脳を構築することができ、英語発声を英単語単位で1つ1つ認識できるようになる訳です。

なお、英音研学習サイトの英語音声は、アメリカ英語ですので、イギリス英語の音読トレーニングをする場合は、イギリス英語の音声教材や、TOEICのイギリス英語発声のリスニング問題を活用してください。

 

英語音声の意味を認識する方法

 

【日本語への置き換え】

英語発声を英単語単位で1つ1つ認識できるようになったからと言って、英語音声の意味がしっかり把握できるという訳ではありません。

多くの日本人は、中学・高校で、英単語の意味を日本語で理解するという英語教育を受けてきました。日本語が母国語である以上、これは不可避です。

英文和訳の試験問題に対処するにも英単語の意味を日本語で理解していることは必須です。

英語音声を英語のまま理解できることは理想ではありますが、一足飛びにそこに至る方法論はありません。

TOEICリスニングテストの点数を向上させようと思ったら、認識できた英語音声の英単語1つ1つをなりふり構わず、日本語に置き換えていって英語音声の意味を把握し、設問の正答率を高めるというのはごく自然な努力だと思います。

英文和訳の場合は、英文を前から後ろから見返すことが可能ですので、じっくり英文を日本語に置き換えていくことが可能ですが、英語音声は、発声されたその場からどんどん音声は消えていくので、ともかく発声された英語の語順の通りに日本語に置き換えていってそのまま英語音声の理解をするというトレーニングは必須です。

例えば”The survey team carried out over 200 interviews with retired people.”(調査チームは、退職者へのインタビューを200回以上実施した)という英語音声だと

”The(それ) ⇒ survey(調査) ⇒ team(チーム) ⇒ carried(運ぶ) ⇒ out(外へ) ⇒ over(以上) ⇒ 200(200) ⇒ interviews(インタビュー) ⇒ with(とともに) ⇒ retired(引退した) ⇒ people(人々).”

これにより何とか英語音声の意味が理解できる訳です。

ただこの方法は英語発声スピードが速くなってくると、日本語置き換えが苦しくなってくるのも確かですが、英語リスニング力の進化の過程では英語音声の意味を理解するのにはこの方法しかないと思います。

 

【英単語の意味のイメージへの置き換え】

英語音読トレーニングの努力を継続して、英語聴覚脳が強くなってきて、英語単語音声のキャッチ力が強まってくると、日本語に置き換えなくても、英単語の意味のイメージで理解できるようになってきます。

英単語のイメージの方が、日本語への置き換えよりも若干スピードが速くできるので英語音声の意味の理解も楽になってきます。

 

【英語音声のまま理解】

英語音読トレーニングの努力を継続して、さらに英語聴覚脳が強くなってきて、英語単語音声のキャッチ力が強まってくると、認識できた英語音声の英単語1つ1つが単語のまま頭の中を流れるようになります。

例えばさきほどの”The survey team carried out over 200 interviews with retired people.”(調査チームは、退職者へのインタビューを200回以上実施した)という英文だと、

”The ⇒ survey ⇒ team ⇒ carried ⇒ out ⇒ over ⇒ 200 ⇒ interviews ⇒ with ⇒ retired ⇒ people.”

では「退職者200人以上調査したのね」で了解という感じです。

そうなってくると少々の高速英語音声でも楽に意味を理解することが可能となります。

イギリス英語リスニング
イギリス英語リスニング

まとめ

アメリカ人の方が、イギリス人と会話すると、英語音声の聞き取りにはあまり問題はないようですが、アメリカ英語にはないイギリス英語特有の単語が入ってくると、意味の認識で戸惑いがあるようです。

日本人の場合、中学・高校で慣れ親しんでいるはずのアメリカ英語のリスニングですら、苦戦しているので、まずは、アメリカ英語での発声特性を使って英文音読トレーニングを実施することにより、アメリカ英語聴覚脳を構築し、アメリカ英語リスニング力を向上させるべきだと思います。

そうするとイギリス英語は、アメリカ英語と共通性が高い発声特性なので、イギリス英語の音声認識力も向上すると思います。

アメリカ英語とイギリス英語の同じ単語での発音の違いや、同じ意味なのに異なる単語を使うことや、よく使う英語表現・英文法に関しては、別途、勉強が必須です。

ただ、これらは本格的に実施すると膨大な勉強量になってしまうのでTOEICリスニング試験対策という意味では、試験に出る範囲に限定して効率よく勉強すべきだと思います。