倍速英語リスニングの学習法はどうなのか?

倍速英語リスニングの学習法はどうなのか?他に良い上達方法があるのでは

倍速英語リスニングの学習法はどうなのか?

倍速英語リスニングが英語リスニング学習に非常に役立つとする論調が多い感じとなっています。

果たして、倍速英語リスニング学習の効用はどうなのかを考察してみたいと思います。

 

英音研リスニング学習の詳細は英音研公式サイトご覧ください。

英語リスニング専門教材・オンライン学習『英音研』公式サイト (eionken.co.jp)


倍速英語リスニングとは

倍速英語リスニング学習とは、英語学習教材の音声を、一定程度速めて聞くことにより、英語リスニング力等を向上させる学習方法です。

逆に発声速度が速すぎて聞き取れない英語音声の発声スピードを遅くして聞き取る学習方法もあります。

昨今、スマホアプリなどで既存の英語学習教材の音声速度を簡単に速くしたり、遅くしたりできるようになったことで実践している人もいる模様です。

英語プレゼンテーションコンテンツが豊富なTEDをYouTubeで視聴する場合、歯車マークをクリックすると再生速度を調整できます。

速度調整は、標準の1.00を基準に、速める場合は、1.25倍、1.50倍、1.75倍、2.00倍となっています。

遅くすることも可能で、0.75倍、0.50倍、0.25倍があり、英語の発声スピードが速すぎてついていけない場合に使用するものと想定されます。

英語発声速度に関しては、倍速英語学習を推奨している人の間では、1.2倍程度とする人と、1.5倍程度とする人がいます。

これに関しては元の英語音声のスピードによりけりなので何とも言えません。

元の英語音声のスピードをベースに学習者が快適に学習できる倍速に設定すべきだと考えられます。

YouTubeのTEDでのプレゼンテーションを聞いてみたところ、もとの1.00倍の発声速度がどうなのかでかなり違いがでますが、元の英語音声の発声スピードがゆっくりめだと1.25倍でそれなりに早くなったなという感じで,1.50倍はやや速くなった感じ、1.75倍や2倍になるとかなりな速度となり、音声が甲高くなり、聞くに堪えない不自然な音声と言う感じでした。

元の英語音声の発声スピードが速めだと1.25倍でそれなりに早くなり、1.50倍ではかなり速いスピードとなりつつ、音声の不自然さが増します。

逆に、0.75倍に遅くした場合は、少し遅くなったかなという感じですが、0.5倍や0.25倍だと低い音声であまりにスピードが遅く、不自然な音声で聞くに堪えない感じです。

 

倍速英語リスニング
倍速英語リスニング

一般的に言われている倍速英語リスニングの効果

一般的に言われている倍速英語リスニングの効果は以下の通りです。

〇通常速度の音声が遅く聞こえるようになる
〇学習時間を効率化できる
〇英語を語順の通り速く理解できるようになる
〇倍速英語音声を音読すると英語リスニング力が向上する

それぞれコメントしていきたいと思います。

 

〇通常速度の音声が遅く聞こえるようになる

この効果は確かにあります。

良く例えられているのが、高速道路を時速100kmで長時間運転したあと、一般道路に入って時速40kmで運転すると、時速40kmが異様に遅く感じられるという現象と同じ感じです。

英文内容が1.00倍の発声速度で聞き取れる場合、1.20倍や1.50倍と発声速度を上げても多くの人が聞き取れますし、そのスピードで1.00倍を聞いたら、スピードが若干遅く感じるのはその通りだと思います。

他方、英文内容が1.00倍の発声速度で聞き取れない場合、1.50倍の発声速度で聞いても、英文内容は当然ながら聞き取れません。

では、1.50倍の速度で何回か耳を慣らして、1.00倍の速度でもう一度聞いたら、クリアに英語音声を聞き取れるでしょうか?

音声速度が遅くなったという感覚はありますが、残念ながら、聞き取れません。

この状況を例えるなら、野球のバッティングセンターで時速150kmの球速をジャストミートできない人が、時速180kmの球速で何回か目慣らしをしたあと、時速150kmの球速がジャストミートできるようになるかというとそれはできないというのと同じです。

時速180kmの球速に目慣らしをして、時速150kmの球速を見ると、球速自体は遅く感じますが、バットでボールをジャストミートするには、それ以外の様々なバッティング技術や能力が必要なわけです。

このような感じで、英文内容が1.00倍の発声速度で聞き取れない場合、速い英文発声速度で耳慣らしをして、1.00倍の速度にトライして、発声速度の遅さは体感できたとしても、聞き取れないものは聞き取れないのです。

 

〇学習時間を効率化できる

これは、15分間の英語音声を1.5倍速で聞いたら、10分間で聞き終えることができるので、学習効率が上がるでしょうという理屈です。

英語音声の内容を時間がないので早く把握したい人にとっては、倍速で英語内容を視聴するのはあろうかとも思います。

しかし、単位時間当たりに英語音声をたくさん聞くことができ、耳慣らしがたくさんできるから、英語リスニング力が向上するということを期待するならば、その期待通りにはならないでしょう。

これは昨今、英語を聞き流すだけでは英語リスニング力の向上は見込めないとする論調が多くなっていますが、それと同じ理屈です。

残念ながら、英語音声をたくさん聞いたからと言って、英語聴覚脳は構築できず、英語リスニング力も向上しません。

 

〇英語を語順の通り速く理解できるようになる

英語音声が1.00倍の速度で聞き取れているケースならば、1.50倍くらいの速度でもそれなりに聞き取れます。

そのとき、1.50倍のスピードなので、脳の英語音声処理速度を向上させることができるので、1.00倍の速度で聞いたとき、簡単に聞き取ることができると言う理屈です。

しかし、1.00倍の音声速度で聞き取れていて、1.50倍の速度で何度も聞いてあと、1.00倍の速度の英語音声が少しの間、体感としてゆっくり聞こえたとしても、しばらくすると、1.00倍が普通の体感速度に戻ります。

先ほどの高速道路の例で、高速道路を時速100kmで長時間運転して、一般道路に入って時速40kmで運転すると、時速40kmが異様に遅く感じられますが、しばらく時速40kmでは運転していると、時速40kmとしてのスピードが普通に速く感じられます。

このような感じで、この効果も今一歩劇的な効果と言えないものがあります。

 

〇倍速英語音声を音読すると英語リスニング力が向上する

ただ単に英語音声を聞き流すだけでは、英語リスイング力は向上しませんが、英文音読をすると効果があり、それを高速で実施すると効果があるのではないかという考え方です。

確かに英語音声が聞き取りづらい大きな要因として発声スピードの速さはあると思います。

しかし、英文音読が英語リスニング力の向上に役立つと聞いて、実践してみたことがある人は多いと思います。

そして、止めてしまった人がかなり多いと思います。

理由は簡単です。

文音読に労力と時間をかけても、英語リスニング力向上の効果が感じられないからです。

誰しも無駄なことに時間と労力をかけたくないですよね。

なぜ、英語リスニング力に効果があると言われている英文音読をやっても効果が感じられないのでしょうか?

それは、日本語発声特性で英文音読をしてしまうからなのです。

日本語発声特性で、英文音読にいくら時間と労力をかけても、英語聴覚脳は構築できません。

逆に、英語発声特性で、英文音読をすると、英語聴覚脳が構築できて、英語リスニング力が向上します。

ただし、英語音声の倍速機能を活用して、1.5倍や2.0倍速の音声を使って英文音読をすれば良いかというと、それでは十分な効果は得られないと思います。

仮に1分間に200語の発声スピードの英語音声を倍速機能で1分間に300語に引き上げたとします。

1分間に200語の発声スピードの英語音声はかなりゆっくりな感じですが、1分間に300語ともなると日本人にとってはかなりな高速な発声スピードとなります。

英語音声倍速機能は、オリジナル音声の強弱発声リズムをそのままで発声速度を上げますが、実際、英語ネイティブスピーカーが、1分間に200語で話すのと300語で話すのとでは、強弱発声リズムや間の取り方がかなり異なります。

したがって、1分間に200語の発声スピードの英語音声を倍速機能で1分間に300語に引き上げた英語音声で、英文音読をしても、英語ネイティブスピーカーが肉声で1分間に300語で発声している強弱発声リズムや間の取り方が学習できません。

そうなると英語聴覚脳の構築も十分できず、英語リスニング力の向上も今一歩となります。

倍速英語リスニング
倍速英語リスニング

米国映画・テレビドラマにおける発声スピード:1分間に280語~360語

英音研の英文音読トレーニング教材を作成するにあたり、学習者の方々に速い英語発声スピードに慣れていただくために、低速、中速、高速の3段階で米国人ナレーターに英文読み上げをしてもらいたいと考えました。

そこで問題となったのが、何をもってして低速、中速、高速の速さとし、米国人スピーカーにこんな感じのスピードで英文を読上げてくださいと提示するサンプル音声でした。

そこでリアルな現実を直視しようと、米国で2009年から2015年にかけて放映されていた人気テレビドラマの“glee”で実測してみようと考えました。

比較的長いセリフを56個、セリフの語数を数え、そのセリフの発声時間を測定して、米国人俳優の方々の1分間あたりのセリフスピードを測定しました。

アルファベット数が多い英単語が多く含まれているセリフは高速に感じても発声スピードの値は遅くでたり、アルファベット数が少ない英単語が多く含まれているセリフは、中速に感じても、発声スピードの値は早くでるなど、体感的なものと、算出される数値のギャップもありましたが、多いサンプル数の中から標準的なものを選定して、おおむねこの発声スピードの音源サンプルはこれと提示できました。

その結果、なんと51.8%のセリフは1分間に280語から360語の間に分布していて、米国テレビドラマではこれが普通な感じの発声スピードです。

ちなみに、1分間に360語から420語の発声スピードのセリフは、8.9%、160語から220語と、220語から280語はそれぞれ、19.6%でした。

したがって、米国テレビドラマでのナチュラルな発声スピードは1分間に280語から360語となっており、世間で言われている英語ネイティブスピーカーのナチュラル発声スピードは250語であるという定説と大きくかけ離れていました。

この時はさすがに定説と言われているものであっても、鵜吞みにせず、ちゃんと実測して検証してみるべきとの教訓が得られました。

となると、TOEIC等の英語力評価試験におけるリスニングテストで高得点を獲得している人であっても、米国映画・テレビドラマを英音のみ・字幕なしで楽しめない人が多いというのも無理からぬところです。

大学入試を突破し、英語力評価試験も卒業した方々が、英米企業とシビアなビジネス交渉がこなせるようになりたい、英米の大学・大学院に留学したい、英米の映画・ドラマを英音のみ・字幕なしで楽しみたいなど英語ネイティブスピーカーに対して現実的に通用する英語を身に着けたいとなると、1分間に280語から360語の発声スピードについていける英語リスニング力を身に着ける必要があるということになります。

倍速英語リスニング
倍速英語リスニング

 


高速発声スピードの英語音声を理解できる英語リスニング学習方法

英語リスニング力は、単に発声された英語音声を認識できるだけでなく、英単語・英熟語力や英文法力など総合力が求められますが、本稿では発声された英語音声を認識するテーマに絞って論じたいと思います。

まず発声スピードの前に、日本語と英語の発声特性が構造的に異なるので、そこを克服する必要があります。

文音読が英語力を向上させるのに役立つという話を聞いて、英文音読にトライした人は多いと思います。しかし、多くの人は英文音読学習を止めたと思います。

理由は簡単で、文音読学習をしても、英語力の向上が実感できないからです。なぜ、そうなってしまうのでしょうか?

それは、日本語の発声特性で、英文音読学習をするからです。日本語環境で生活している我々が、日本語発声特性をもってして、日常会話をするのは当たり前で、それをそのまま英文音読学習に持ち込んでしまう訳です。

英語の発声特性と日本語の発声特性は構造的に大きく異なるため、日本語の発声特性で英文音読学習をしても、英語聴覚脳を十分に構築することはできません。

日本語聴覚脳のままで、英音を聞いても英文の意味が聞き取れないのはしごく当然の結果となります。

英語音読学習で、ヒアリング力を向上させるためには、英音発声特性をもってして、英語音読学習をする必要があります。

これにより英語聴覚脳を構築でき、英語ヒアリング力が向上するという理屈になります。

日英の発声特性の違いや、英音発声の仕方は、英音研学習サイトに詳しく解説していますので、そちらを参照してください。

そして、高速の英音発声スピードに対応するには、高速での英文音読トレーニングを実施する必要があります。

しかし、大学入試の英語リスニングテスト向けの学習教材は当然、本番試験に合わせて、1分間に140語程度の低速なものがほとんどなります。

本番試験で求められていない高速発声スピードで学習することは無駄だと考えられているからです。

TOEIC等の英語力評価試験における英語リスニングテストの発声スピードは1分間に240語くらいですので、学習教材もそのスピードに合わせたものとなるのは当然となります。

日常英会話やビジネス英会話の英語音声教材も1分間に220~240語くらいのものがほとんどです。

英会話教材の中には、リスニング力向上のために、高速英語を聞くトレーニングをするのが効果的との発想での教材も販売されています。

しかし、多くは英語ネイティブスピーカーが1分間に220~240語くらいで読上げた音声を、音響機器を使って2倍速や3倍速にしている教材がほとんどです。

実際に2倍速や3倍速の音声を聞いて見ると、発声スピードは異様に速いですが、奇妙な機械音声で、とても米国人による早口の発声とはかけ離れたものがあり、聞くに堪えないものがあります。

そこで、英音研では、米国人気テレビドラマ番組だった“glee”での実際の俳優の方々のセリフ音声を実測し、スピード分布を確認し、1分間に180語程度を低速、250語程度を中速、330語程度を高速とし、その3カテゴリーに入る標準的な発声スピードのセリフ実例サンプル音源を米国人ナレーターに提示して、英文読み上げ音源を作成しました。

実際に聞いてみると、音響機器を使った2倍速や3倍速の不自然な音声とは全く異なる、米国人による自然な発声での高速発声スピードでの音声を聞く事ができます。

そして、どこをどのように発声すると高速になるのかも体感することができます。

いきなり1分間に330語で英文音読をすることは難しいので、1分間に180語程度を低速の英文音読練習の際に、英文の意味をきちんと認識しつつ、英単語ごとに正確な発音練習をすることが可能となります。

そして、1分間に250単語でスピードを上げ、発声を慣らしていきます。

そして最後は1分間に330単語の高速に挑戦ですが、強弱リズムの取り方、口の開き方、舌の使い方などどこをどう工夫すると高速英文音読ができるかを試行錯誤体感できます。

この3段階発声スピードの音読トレーニングの際、前述の英音発声特性を十分に意識して実施することが重要です。

この英音発声特性を十分に意識したハイスピード音読により、高速英文発声音声の意味合いを理解できる英音聴覚脳が構築され、高速英文発声へのリスニング力が可能となるという理屈になります。

倍速英語リスニング
倍速英語リスニング

まとめ

英語の音声速度を速くしたり遅くしたりする機能は、スマホアプリ以前、20~30年前から英語学習用のカセットテープレーコダーに装備されていました。

当時、英音研スタッフも買い求めて使ってみましたが、速度を遅くすると妙に低い音声となり、速くすると妙に甲高い音声となり、とても自然な人間の発声とは思えず、英語リスニング力も高くなったという実感がなかったので、すぐに速度調整機能を使わなくなりました。

ちなみに、英語教材を作る側からすると、ナチュラルスピードの英語音声を1回録音すれば、あとは速度調整機能を使って、発声速度のパターンをいくらでも作れるので、制作費の削減を実現しつつ、高速の発声の英語教材と銘打って商売ができます。

もし、20~30年も前からある英語発声速度調整機能が英語リスニング力の向上に役立つなら、TOEICリスニングテストでの日本人成績の低迷は解消されているはずですが、現実はそうなっていません。

依然として日本人の英語リスニングが苦手な状況が続いています。

英音研学習では、音響機器による不自然な英語音声倍速ではなく、米国人ナレーターの肉声によるによる低速・中速・高速の3段階の発声スピードで英文読上げ音声を提供しています。

英音発声特性を十分意識しつつ、音読トレーニングを実施することにより、英音聴覚脳が構築でき、英語リスニング力の向上が期待できます。

英語圏の日常のリアルに迫る英語リスニング勉強方法である英音研学習にぜひトライしみてください。